「この図面は対応できません」
加工会社にそう言われて、どうしていいかわからなくなった経験はありませんか。
設計段階では問題ないと思っていた図面が、いざ加工の相談をすると断られてしまう。
あるいは「一部ならできるが、全体としては難しい」と言われる。
このとき多くの方は、「もっと高度な加工技術が必要なのでは?」と考えがちです。
しかし実際には、原因が加工技術そのものにあるケースは多くありません。
図面が複雑で断られるとき、本当に確認すべきポイントは別のところにあります。
視点①「加工が難しい」のではなく、「工程が見えていない」
図面が複雑な案件ほど、加工は一つの工程では完結しません。
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切削
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板金
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溶接
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歪取り加工
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研削
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磨き加工・表面処理
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仕上げ・洗浄
といった複数の工程を組み合わせる必要があります。
このとき問題になるのは、各工程単体の難易度ではなく、工程同士のつながりです。
多くの加工会社は、
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自社でできる工程
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外注に出す工程
を前提に判断します。
その結果、
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「ここまではできる」
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「ここから先は別会社になる」
という判断になり、全体を通した責任が持てないという理由で案件自体を断られることがあります。
つまり、断られる理由は「加工できない」ではなく、「全体像が描けない」というケースが非常に多いのです。
設計検討について詳しくはこちら
視点② 図面単体ではなく、「設計意図」が伝わっているか
複雑な図面ほど、寸法や公差だけでは設計意図が十分に伝わりません。
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どこが最も重要なのか
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どこは多少調整が効くのか
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なぜこの構造になっているのか
これらが共有されていない場合、加工側は最も厳しい条件を前提に判断せざるを得なくなります。
その結果、
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リスクが高い
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不確定要素が多い
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責任範囲が不明確
といった理由から、「今回は見送らせてください」という結論になります。
図面が複雑なほど必要なのは、加工技術ではなく、設計意図を翻訳する工程です。
設計検討について詳しくはこちら
視点③ 単一技術ではなく、「全体最適」で考えられているか
五軸加工、複合加工、溶接、洗浄。それぞれ単体で見ると高度な技術でも、
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組み合わせたときに精度が出るか
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後工程に無理が出ないか
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最終用途に耐えうるか
まで含めて考えなければ、本当の意味で「対応できる」とは言えません。
ここで重要になるのが、全体最適という考え方です。
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加工しやすさ
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精度
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再現性
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清浄度
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将来的な量産
これらを同時に満たす設計・工程設計ができて初めて、複雑な図面は「実現可能な形」になります。
図面が複雑な案件ほど、単一技術ではなく、工程全体を設計できるかどうかが分かれ道になります。
複合加工という考え方についてはこちら
図面が複雑なときこそ、最初にやるべきこと
もし今、
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図面が複雑で断られた
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相談先が見つからない
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どこから手を付ければいいかわからない
という状況であれば、いきなり加工を依頼するのではなく、
まず設計と工程を一緒に整理することをおすすめします。
図面そのものではなく、
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設計の狙い
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使用環境
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求める精度
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将来の展開(試作・量産)
を含めて見直すことで、「不可能」に見えていた案件が、現実的な形に変わることも少なくありません。
複合加工・設計検討という選択肢
複雑な図面を形にするためには、
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設計段階からの検討
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複数工程を前提とした加工設計
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最終工程まで見据えた判断
が欠かせません。
図面を送っていただければ、加工の可否だけでなく、どうすれば実現できるかという視点で検討することが可能です。
「断られた図面だからこそ、相談する価値がある」
そんなケースも多くあります。
工程全体を見た加工の考え方はこちら

