「各工程では問題ないはずなのに、最終的な精度がどうしても安定しない」
加工に関わる現場では、こうした悩みが決して珍しくありません。
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切削は図面通り
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溶接も仕様通り
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洗浄も基準クリア
それでも、組み上げてみると寸法が合わない、精度が安定しない、再加工が発生する。
この原因は、加工技術そのものではなく、工程が分断されていることにある場合が多くあります。
工程全体を前提にした複合加工についてはこちら
「工程ごとの正解」が「全体の正解」になるとは限らない
加工は一般的に、
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切削
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溶接
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仕上げ
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洗浄
などといった複数の工程で成り立っています。
各工程だけを見れば、どれも正しく、問題がない。
しかし実際には、
各工程が「自分の工程だけを正解にしようとする」ことで、全体として矛盾が生まれることがあります。
たとえば、
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切削工程では加工しやすい形状
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溶接工程では強度を優先
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洗浄工程では洗いやすさを重視
それぞれは合理的でも、つなげた瞬間に、
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歪みが増える
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精度が積み上がらない
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再現性が出ない
といった問題が表面化します。
精密洗浄についてはこちら
工程が分断されると起きやすい3つの問題
① 歪み・ズレの原因が分からなくなる
工程が別会社・別工程になるほど、
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「前工程の影響ではないか」
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「次工程で調整される前提」
といった判断が入りやすくなります。
その結果、
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どこでズレたのか特定できない
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原因究明に時間がかかる
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同じトラブルを繰り返す
という状況に陥ります。
② 工程間の前提条件が共有されない
加工には必ず、
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この面を基準にしている
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この歪みは想定内
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この工程後に調整する
といった前提条件があります。
しかし工程が分断されると、こうした情報が暗黙知のまま途切れやすくなります。
結果として、
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想定外の加工
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不要な調整
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精度の積み上げ誤差
が発生します。
③ 最終用途を見た判断ができなくなる
各工程では、
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図面通りか
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公差内か
が判断基準になりがちです。
しかし本来重要なのは、
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組み付けたときにどうか
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使用環境で問題が出ないか
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長期的に再現できるか
という最終用途の視点です。
工程が分断されるほど、この視点が抜け落ちやすくなります。
精度を安定させる鍵は「工程全体の設計」
精度を安定させるために必要なのは、より高度な加工技術ではありません。
重要なのは、
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どの工程で何を決めるのか
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どこで余裕を持たせるのか
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どこで精度を詰めるのか
を最初から設計しておくことです。
つまり、加工そのものではなく、工程全体をどう組み立てるかが結果を左右します。
設計検討の考え方はこちら
一貫して見られるからこそできる判断がある
工程を一貫して見ることで、
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前工程でどこまで詰めるべきか
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次工程に何を引き渡すべきか
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全体として最も無理のない形は何か
といった判断が可能になります。
これは、単一工程だけを担当している立場ではどうしても難しい部分です。
精度が安定している現場ほど、工程を「作業」ではなく「設計」として捉えています。
工程分断に悩んだとき、見直すべきこと
もし今、
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精度が安定しない
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再加工が発生している
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工程間の調整に時間がかかっている
という状況であれば、
工程を増やすのではなく、工程のつながりを一度整理することが解決につながる可能性があります。
複合加工・一貫対応という考え方
複合加工や一貫対応の価値は、単に「多くの工程を持っていること」ではありません。
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工程同士の関係を理解し
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全体として最も安定する形を考え
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最終用途まで見据えて判断する
この考え方そのものにあります。
工程分断による精度不良に悩んでいる場合、一度「全体を通して見直す」ことが有効です。

