裏波溶接

ABOUT

裏波溶接とは

裏波溶接とは、溶接面だけでなく、溶接面の裏側にもビードを出す必要がある場合に使用される溶接方法です。この方法は、内面に液溜りやコンタミ(異物混入)が許されない製品に適用されます。両側(内外面)から溶接が可能な構造であれば、両面からの溶接が容易ですが、閉じられた空間や溶接トーチが届かない面では、裏波溶接を行う必要があります。裏波溶接は、真空機器や半導体製造装置、食品機械などで頻繁に要求される技術です。TIG溶接の場合、溶け込み量が少ないため(1mm~2mm程度)、開先(C面)を取り、2回(2周)以上溶接で盛る必要があります。一方、ファイバーレーザー溶接では、キーホール溶接技術を活用することで、開先を取らずに裏波溶接を実現することが可能です。

裏波溶接とは

FEATURE

第五電子工業の裏波溶接の特徴

安定した生産体制を構築
重要客先からは、最近では水冷部品についてすべて裏波溶接が要求されています。また、WPS(溶接施工要領書)やPQR(溶接実施記録)といった技術文書の整備も必須条件となっています。初回の溶接時には、確実に裏波が出ているかをファイバースコープで確認したり、溶接部を実際に切断して内部を確認するなど、厳格な品質チェックを行っています。さらに、社内認定制度を設けており、認定に合格した者だけが本番の溶接を行える体制としています。現在、TIG溶接技術者が20名以上在籍しており、安定した生産体制を構築しています。

USE CASE

導入事例

水冷配管には、径6mm~25mm程度の小径管の溶接が適用されます。ガス系配管は径6mm~12mm程度のものが多いです。水冷配管は手動溶接で、ガス系配管は自動溶接で対応するのが一般的です。また、ラジエーターの配管(径9mm~16mm)については、当社ではロボット溶接で対応しています。

対応材質 ステンレス、アルミ
最大加工サイズ 制限なし

PRODUCT CASE

製品事例

EQUIPMENT

機械設備

裏波溶接で取り扱う生産設備一覧

設備名 型式 メーカー 仕様 特長
ファイバーレーザー溶接ロボット ・FD-V20+V-HF4000
・FD-A20+V-HF4000
ダイヘン/WEL-KEN 1.3KW 1.5mm~3mmの板厚を主な対象として活用しています。
ポジショナーとロボットを組み合わせた仕様で、高精度な溶接が可能です。
レーザー発振器には国産品を採用しており、ビーム品質の安定性に優れています。
出力も重要ですが、私たちはそれ以上にビーム品質を重視しています。
ファイバーレーザー溶接ロボット FD-A20+FO8000-S:ARM ダイヘン/コヒレント 8KW 3mm以上の板厚の裏波溶接時に主に使用していますが、3mm以下でも効率を重視して活用する場合があります。レーザー発振器はEU製で、ビーム品質が安定しているのが特長です。

最大の特長は、2つの異なるレーザー発振器を搭載している点にあります。中心のレーザーと、その周囲を取り巻くリング状レーザーの組み合わせによって溶接を行います。この二重レーザーにより、溶接品質の安定化とスパッタの抑制を実現しています。
ファイバーレーザー溶接機 手動 ・V-HF1500
・V-HF2000
WEL-KEN 0.5KW 板金系の薄物溶接に活用しています。手動で対応できるため、多品種少量生産や複雑形状のワークにも柔軟に対応可能です。
TIG溶接ロボット ・FD-V6LS+DA-300P
・FD-V6+DA-300P
・FD-V8L+WELbeeA350P
・FD-V20A+WELbeeA350P
ダイヘン 最大出力350A、
高精度パルス制御
レーザー溶接機やTIG溶接機と連動させ、ロボット溶接を実現しています。現在、溶接用ロボットは8台を保有しています。
TIG溶接機 ・デジタルアルゴ DT300PⅡ
・デジタルアルゴ DT300PⅢ
・DA300P
・Welbee A350P
ダイヘン 最大出力350A、
高精度パルス制御
気密が求められる精密な溶接に使用しています。
TIG溶接機 ・MT-200FDP
・MT-200DP
マイト工業 最大出力200A、
直流専用
主に仮付け溶接などに使用しています。
TIG溶接機 YC-300BP4 Panasonic 最大出力300A、
パルス溶接対応
交流電源も使用可能で、アルミ溶接にも適しています。
円周自動溶接機 M200 スウェージロック 最大出力200A Φ3.18~Φ12.7までの配管の自動溶接が可能です。ガス系配管の精密な溶接に使用しています。

スクロールしてください

FAQ

よくある質問

裏波溶接とはどのような溶接ですか?

溶接裏面に均一なビード(波)を形成し、完全な溶け込みを実現する高難度の技術です。

どんな用途で使用されますか?

配管・圧力容器・真空装置など、内外面ともに高品質を求められる部品に採用されています。

職人技が必要と聞きますが、どう管理していますか?

熟練溶接士による手動溶接と、条件データのデジタル管理を組み合わせています。

検査体制はありますか?

初回は破壊検査により確認。繰り返し生産時はファイバースコープ等で確認します。場合により非破壊検査も実施します。

気密性・強度の確保はどうしていますか?

裏波形成により溶接内部まで完全に溶け込み、漏れやクラックを防止します。