真空配管という言葉を聞いても、「一般的な配管と何が違うのか」「なぜ高い溶接品質が必要なのか」「製作時にどのような点を確認すればよいのか」までは、分かりにくいことがあるかもしれません。
真空配管は、チャンバー内の空気を出し入れし、真空状態と大気開放を切り替えるために使用される配管です。真空ポンプと接続されることも多くあります。
当社では、半導体製造装置や各種真空成膜装置向けを中心に、ステンレス製の真空配管を製作しています。
この記事では、真空配管の基本的な役割、一般的な配管との違い、真空フランジの種類、製作時に重要となるポイントについて整理してお伝えします。
真空配管とは
真空配管は、真空装置内でチャンバー内の空気を出し入れするために使用されます。
チャンバー内部を真空状態にしたり、大気開放したりするために使用され、真空ポンプと接続されることも多くあります。
そのため、単に流体を通すための配管ではなく、真空装置を構成する重要な部品の一つです。
一般的な配管との違い
一般的な水配管やガス配管でも、漏れを防ぐことは重要です。
真空配管では、装置内部の真空状態を維持する必要があるため、溶接部や接続部の漏れを防ぐことが特に重要になります。
当社では、完全密閉を必要とする気密・水密・真空溶接を多く手掛けており、密閉度を保証するための漏れ検査も行っています。
真空配管にはどのようなフランジが使われるのか
真空配管では、規格のパイプやフランジを取り付けるタイプが大半を占めます。
代表的な真空フランジには、
- VF/VG
- NW
- ICF
があります。
VF・VGフランジ
真空配管で使用される代表的な規格フランジの一つです。ゴム製のOリングを用いて密閉され、ボルト、ナットで接続します。
NWフランジ
NWも真空配管で一般的に使用される規格フランジです。ボルト、ナットで接続するのではなく、専用のクランプという挟み込むタイプの機器で接続します。
ICFフランジ
ICFはメタルガスケットを使用する真空フランジで、高真空な装置に使用されます。
VF/VGやNWではゴム製Oリングが使用されます。
当社では、規格品だけでなく、特注のICFフランジ加工にも対応しています。
真空配管製作で重要になるポイント
1.溶接部の気密性
真空配管では、溶接部から漏れが発生しないことが重要です。
当社では、TIG溶接、円周自動溶接、ファイバーレーザー溶接など、用途に応じた溶接設備を保有しており、気密・水密・真空溶接に対応しています。
2.内面の仕上がり状態
真空配管では、内部の状態も重要です。用途によって様々な仕様がありますが、排気系なら素材のまま使用されることも多いですが、チャンバーや真空ポンプに近い配管なら、内部をバフ研磨後、電解研磨指示や精密洗浄が求められることがあります。
当社では、真空機器や半導体製造装置など、内面品質が求められる製品にも対応しています。当社はクリーンルーム内の精密洗浄は現在非対応で外注となりますが、一般環境の超純水洗浄は対応しています。
また、内部にガスだまりやコンタミを気にする配管は、裏波溶接を要求される場合もあります。アウトガス発生を気にする配管は、テフロン系やその他特殊な処理膜を構築する場合もあります。
3.フランジや接続部
真空配管では、パイプだけでなく、フランジや接続部も重要です。
当社では、配管やチャンバーのジョイント部分に使用されるフランジ加工を行っており、真空やガスのシールに使用されるアリ溝タイプのシール面や、特注ICFフランジにも対応しています。
4.配管形状
真空配管は、装置内部の構造に合わせてさまざまな形状が必要になります。
当社では、
- パイプの切断
- 曲げ加工
- 穴開け
- パイプ内径に沿った切断
- パイプ同士の溶接
などを日常的に行っています。
また、加工後にはパイプの磨きや曲げ修正も行っています。
5.リーク検査
真空配管では、完成後に漏れがないことを確認することが重要です。
当社では、溶接後に必ず真空のヘリウムリークディテクターを使用して漏れがないことを確認してから出荷しています。
つまり、「溶接できた」だけで製作完了ではなく、漏れがないことを確認するところまでが重要です。
真空配管と真空チャンバー
真空配管は、真空チャンバーや真空ポンプなどと組み合わせて使用されます。
当社では、真空配管だけでなく、丸形・角型の真空チャンバーにも対応しています。
真空チャンバーでは、特にステンレス製の丸型溶接構造品を得意としており、小型の角型チャンバーにも対応しています。
真空装置に使用される部品は、それぞれを単独で考えるのではなく、装置内でどのように接続・使用されるかを確認することが重要です。
図面段階で確認しておきたいこと
真空配管をご相談いただく際には、次のような情報があると製作方法を検討しやすくなります。
- 使用する真空条件
- 配管径
- 材質
- 配管形状
- 使用するフランジ
- 接続位置
- 必要な溶接仕様
- 内面品質の要求
- リーク検査の条件
こうした条件を図面や仕様とあわせて確認しながら、製作方法を検討していきます。
当社が大切にしていること
真空配管で大切なのは、「パイプを曲げられるか」「フランジを溶接できるか」だけではありません。
重要なのは、必要な真空性能を、加工・溶接・検査まで含めて成立させることです。
当社では、溶接・機械加工・板金加工の設備を社内に有しています。
また、パイプの切断・曲げ・穴加工・溶接・磨き・曲げ修正に加え、真空配管で求められる精密洗浄にも対応しています。
まとめ
真空配管は、チャンバー内の空気を出し入れし、真空状態と大気開放を切り替えるために使用される配管です。
製作時には、
- 溶接部の気密性
- 内面の状態
- フランジや接続部
- 配管形状
- リーク検査
などを総合的に考える必要があります。
当社では、真空配管の加工・溶接・リーク検査に加え、フランジ加工や精密洗浄にも対応しています。
真空配管の新規製作や、真空チャンバーと組み合わせた配管についてご検討中の場合は、ぜひ図面段階からご相談ください。
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