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複合加工五軸マシニングセンタ加工設計検討

五軸加工と複合加工の違いとは?精度を左右する工程設計の考え方

「五軸マシニングセンタはありますか?」
精密部品の加工をご検討される際、設備に関するご質問をいただくことがあります。
確かに五軸加工は、複雑形状や高精度部品を実現するための重要な加工手段です。

 

しかし私たちは、 「設備があること」そのものが精度を保証するとは考えていません。
部品が完成するまでには、切削、溶接、仕上げ、洗浄など、複数の工程が関わります。
その工程をどのように組み立て、どの段階で精度を担保し、どこでリスクを抑えるのか。
精度は設備だけで生まれるのではなく、工程全体を設計する考え方によって成立すると私たちは考えています。

 

本記事では、 五軸加工という「加工手段」と、複合加工という「工程設計(全体最適)」の違いを整理しながら、第五電子工業がどのように精度を成立させているのかをご紹介します。
これは半導体分野に限らず、医療機器や精密機器など、 高い品質が求められる部品加工にも共通する考え方です。

五軸加工とは何ができるのか

五軸マシニングセンタとは、 X・Y・Zの3軸に加え、回転軸を組み合わせることで、多方向から同時に加工を行うことができる工作機械です。
従来の加工では、部品を何度も固定し直す必要がありましたが、五軸加工では「ワンチャッキング(部品を一度固定したまま複数面を加工すること)」が可能な場合があります。
これにより、再固定による誤差の発生を抑えることができます。
段取り回数が減ることは、 位置ズレのリスクを抑えることにつながります。
そのため五軸加工は、高精度部品の加工において 非常に有効な手段のひとつです。

 

しかし重要なのは、 五軸という設備そのものよりも、どの工程で五軸を使い、どの工程で使わないかという判断です。
すべてを五軸で加工することが最適とは限りません。
工程全体を見渡しながら、最も精度が安定する方法を選択することが重要になります。

五軸があっても精度が安定しない理由

五軸加工は高精度を実現するための有効な手段ですが、それだけで精度が保証されるわけではありません。
実際の製品は、切削加工だけで完成するとは限りません。

例えば、

  • 切削後に溶接工程が入る場合
  • 加工後に熱が加わる場合
  • 仕上げ加工や表面処理を行う場合

こうした工程が加わることで、材料内部の応力変化やわずかな歪みが発生することがあります。
たとえ五軸で高精度に加工しても、後工程で寸法が変化してしまえば、 最終的な精度は安定しません。

 

また、工程が分断されている場合、各工程では問題がなくても、 全体として見たときに整合が取れていないケースもあります。
精度は「各工程の足し算」ではなく、 工程同士のつながりによって決まるものです。

複合加工とは何か

複合加工とは、単に複数の加工技術を持っているという意味ではありません。
切削、溶接、仕上げ、洗浄など、それぞれの工程をどう組み合わせ、どの順番で行い、どこで精度を担保するのかを設計する考え方を指します。

例えば、

  • どの面を基準に加工を開始するのか
  • 溶接による歪みをどの工程で吸収するのか
  • 最終仕上げをどこに設定するのか

これらをあらかじめ想定しながら工程を組み立てることで、はじめて最終的な精度が成立します。
五軸加工は「どう削るか」という加工手段であり、複合加工は「どう完成させるか」という工程設計です。

 

設備が優れていても、工程設計が整理されていなければ、 精度は安定しません。
逆に言えば、工程全体を見渡した設計ができていれば、設備の能力を最大限に活かすことができます。
第五電子工業では、 個々の技術を積み重ねるのではなく、完成形から逆算して工程を設計することを重視しています。
精度は偶然ではなく、 工程設計によって成立させるものだと考えているからです。

精度を成立させるために必要な視点

高精度部品において重要なのは、「どの設備を持っているか」だけではありません。
どの工程で基準をつくり、 どの段階でリスクを吸収し、最終的な精度をどのように成立させるのか。
その視点が整理されているかどうかが、 品質の安定性を大きく左右します。

 

半導体装置部品に限らず、 医療機器や分析装置、精密機構部品など、高い品質が求められる分野では、 工程全体を設計する考え方が不可欠です。

もし現在、

  • 五軸設備はあるが精度が安定しない
  • 工程が分断され、責任範囲が曖昧になっている
  • 複雑形状で加工方法に悩んでいる

そのような課題がある場合は、 工程全体を見直すことで解決できる可能性があります。
まずは図面段階から、 どのように精度を成立させるかを一緒に整理してみませんか。

工程をまとめて見直したい方へ

工程が分断されていると、精度・納期・コストに影響が出ることがあります。複数工程を前提に全体最適の視点で加工方法を整理し、より合理的な形をご提案いたします。分かれている工程を一本化できるか検討します。