真空チャンバーという言葉を聞いたことはあっても、「どのような構造なのか」「どのような用途で使われるのか」「製作会社を選ぶ際に何を確認すればよいのか」までは、分かりにくいことがあるかもしれません。
真空チャンバーは、内部を真空状態に保つための容器で、半導体製造装置や真空装置など、さまざまな設備で使用されます。
当社では、丸形・角型の真空チャンバーに対応しており、材質は主にステンレスやアルミを扱っています。
特にステンレス製の丸型チャンバーを得意としており、5軸マシニングセンターを活用した小型の角型チャンバーにも対応しています。
この記事では、真空チャンバーの基本的な構造や用途、そして製作会社を選ぶ際に確認しておきたいポイントについて整理してお伝えします。
真空チャンバーとは
真空チャンバーとは、内部の空気や気体を排出し、一定の真空状態を保つための容器です。
真空状態を利用する装置では、チャンバー内部の圧力を適切に維持することが重要になります。
そのため、真空チャンバーには単に「箱や容器として形になっている」だけではなく、
- 気密性
- 溶接品質
- 加工精度
- フランジや配管接続部の精度
- シール部の仕上がり
など、複数の要素が求められます。
真空チャンバーにはどのような種類があるのか
真空チャンバーは、形で分けると丸形と角型があります。
また、製造方法に分類すると、溶接構造品と切削構造品と鋳物構造品があります。
当社では鋳物構造品以外は対応していますが、特にステンレス製の丸型チャンバーで溶接構造品を得意としています。
丸形真空チャンバー(溶接構造品)
丸形の真空チャンバーは、比較的オーソドックスな形状です。
当社で製作する丸形チャンバーでは、丸管の内外面にバフ研磨を行うことが多く、フランジについても規格品から製作品まで対応しています。
用途によっては、電解研磨や精密洗浄を行うケースもあります。
角型真空チャンバー
角型チャンバーでは、形状や加工内容によっては複雑な切削加工が必要になります。
主にステンレスでは6面を個別に製作し溶接する事により角型に仕上げてから精度を維持するために溶接後に切削加工するのが一般的です。
切削加工では五面加工機や五軸加工機を使用するのが一般的です。
アルミでは溶接性が悪く、切削性が良好なため切削加工のみで仕上げるものが 多くなっています。
加工は横型マシニングが広く使用されています。
最近ではレーザー溶接や電子ビーム溶接した真空チャンバーや鋳物から切削加工を行うものもあります。
当社では5軸マシニングセンターの導入により、小型の角型チャンバーにも対応しています。
どのような用途で使われるのか
真空チャンバーは、さまざまな部品の製作に使用されています。
当社の製品事例では、
- 半導体製造装置
- 液晶・プラズマTV関連設備
- 電子機器部品
- 光学部品
- ガラス
- 食品機械
これらの部品を製作するうえで様々な真空装置が使用されています。
代表的なものとして成膜装置があります。CVD装置やスパッタ装置などです。
大気中で成膜すると空気に含まれる物質と化学反応してしまうため、不要物質を取り除くために真空状態にしなけれはなりません。
完全真空中には物質(原子)は存在しません。そのため容器を一旦真空状態にしてから付けたい物質を投入して膜を形成させます。
真空状態を維持する必要がある装置では、チャンバーの品質が装置性能に直結します。
そのため、真空チャンバーの製作では、構造・加工・溶接・検査まで一体で考えることが重要です。
真空チャンバー製作で重要になるポイント
1.気密性
真空チャンバーでは、内部の真空状態を維持するため、気密性が重要です。
わずかな漏れがあるだけでも、必要な真空度を維持できない場合があります。
そのため、溶接部やフランジ周辺を含め、構造全体として漏れが発生しにくい状態を成立させる必要があります。
当社では、真空チャンバーの製作にもTIG溶接を使用しています。
2.加工精度
真空チャンバーには、フランジ取付部や配管接続部など、精度が求められる箇所があります。
丸形真空チャンバーの製品事例では、±0.05mm程度や±0.1mm程度の精度で製作した実績があります。
特に、枝管が斜めに取り付くような複雑形状では、5軸マシニングセンターを使用することで加工できるケースがあります。
当社では、特殊なICFフランジの加工にも対応しています。
3.溶接品質
真空チャンバーでは、機械加工だけでなく溶接品質も重要です。
溶接による歪みや、溶接部の状態によっては、寸法精度や気密性に影響が出ることがあります。
また使用中に溶接割れが発生したり、溶接劣化を引き起こす事も考えられます。
そのため、製作工程では加工と溶接を別々に考えるのではなく、完成時の状態を見ながら工程を組み立てる必要があります。
4.表面処理や洗浄
用途によっては、バフ研磨、電解研磨、精密洗浄などが必要になる場合があります。
特に真空環境で使用される部品では、表面状態や清浄度も重要な要素となることがあります。
清浄度が悪いとコンタミ(塵や埃)が発生します。
また表面状態が悪いとアウトガス(容器自体に含まれる物質がチャンバー内に漏れ出す)の発生を助長します。
どちらも装置の性能を大幅に悪化させる原因になります。
当社の丸形真空チャンバーでは、内外面のバフ研磨に加え、電解研磨や精密洗浄を行うタイプがほとんどになっています。
アルミの場合はアルマイトや化学研磨をする場合があります。
製作会社を選ぶときに確認したいポイント
真空チャンバーの製作会社を選ぶ際には、単に「真空チャンバーを作れるかどうか」だけで判断するのではなく、次のような点を確認しておくことが重要です。
1.加工と溶接の両方に対応できるか
真空チャンバーでは、機械加工と溶接の両方が必要になるケースが多くあります。
工程を別々の会社に依頼する場合、寸法や加工条件、溶接変形などの調整が複雑になることがあります。
そのため、両方の工程を理解したうえで製作できる体制があるかどうかは、重要な確認ポイントです。
2.複雑な形状に対応できるか
枝管が斜めに付く形状や、特殊なフランジ、複雑な溝加工などでは、高い加工技術が必要になります。
図面を確認した段階で、どのような工程で製作するかまで検討できる会社であれば、相談も進めやすくなります。
3.検査まで含めて対応できるか
真空チャンバーでは、完成後の確認も重要です。
当社の真空チャンバー製作では、リークディテクターを使用した確認にも対応しています。
加工・溶接・検査まで含めて考えられることは、安定した品質につながります。
当社が大切にしていること
当社では、真空チャンバーの製作において、「加工できるか」「溶接できるか」だけで判断するのではなく、最終的に必要な品質として成立するかを重視しています。
真空チャンバーは、機械加工、溶接、気密性、表面処理、検査など、複数の技術が組み合わさって完成する製品です。
そのため、一つの工程だけを見るのではなく、完成状態から逆算して製作工程を考えることが重要です。
当社では、板金加工・機械加工・パイプ加工・溶接を社内で一貫して対応できる体制を活かしながら、真空チャンバーの製作に取り組んでいます。
まとめ
真空チャンバーは、内部を真空状態に保つための容器であり、半導体製造装置や真空装置など、さまざまな設備で使用されています。
製作では、
- 気密性
- 加工精度
- 溶接品質
- フランジや接続部の精度
- 表面処理
- 検査
など、複数の要素を総合的に考えることが重要です。
そして、製作会社を選ぶ際には、一つの加工技術だけでなく、加工から溶接、確認まで含めて対応できるかを見ることがポイントになります。
真空チャンバーの製作や、複雑形状・高気密部品についてご検討中の方は、ぜひご相談ください。

